水陸制覇を目指す旅人たちよ。台湾6大ダイビングスポットで、水中の青のグラデーションを自分の目で確かめよう。台湾は想像よりも立体的で広いのだ。
近年、台湾では台湾一周の旅が流行している。写真よりもずっと鮮明な山や海、都会よりもゆっくり進む時間、人と土地との距離の近さ、この景色を経験した旅人なら誰もが知っているだろう。では、海の中で台湾一周する旅人の目に映るのは、どんな景色なのだろうか。

ダイビングマップの北東方にはまるパズルピースを見つける
「台湾の六大ダイビングスポットには、ぜひすべての台湾人に行ってみてもらいたいです!」と、「台湾ダイビング」の代表、陳琦恩さん。オーストラリアでのインストラクターを経て、恒春在住十数年になる。2019年に、彼はダイビング界で有名な作家、サイモン・プリッドモア(Simon Pridmore)さん夫妻を招き、共にダイビングによる台湾一周の旅をした。一か月かけて東北角から恒春まで潜り、さらに蘭嶼、澎湖、小琉球、緑島とダイビングの旅をしたサイモンさんは、台湾の海の美しさを文字や写真で記録した『Dive into Taiwan』という本を出版した。サイモンさんは「異なる視点から台湾のダイビングスポットの隠れた魅力を世界に伝えたい」、と語っている。
廣告

半年に及ぶ、この「台湾一周ダイビングの旅」の準備期間に、様々な固定観念が覆されたという陳さん。
どのダイビングスポットに行くかについて話し合っていたら、サイモンさんに「東北角」という選択肢を持ち出され、「頭の中は疑問だらけだった」という陳さん。しかし、サイモンさんの理由を聞いて、陳さんはすぐに納得した。その理由とは、「そもそも台湾へやってくる外国人観光客はそれほど多くないし、その大半は台北に滞在するビジネスを目的とする人たちだ。3~5日の休暇を取って蘭嶼や緑島まで足を伸ばすのは無理でも、1、2日あれば、比較的近い東北角で台湾の海をのぞいてみることはできるかもしれない」、というものだった。つまり、東北角が鍵なのだ。外国人観光客が台湾の海に興味を持つようになれば、台湾のほかのダイビングスポットにも目を向けるだろう、というわけだ。
「東北角の潮境公園に行った当日も、海に入るまでは少し不安でした。最高の景色を見せてあげられなかったらどうしよう、と心配していました。」もちろん、その心配は無用だった。東北角海域は魚群もサンゴも状態がよく、「可愛いフグの魚群や、ひときわ大きなアデヤカキンコなど、墾丁では見られないようなものも見られました。台湾のダイビングスポットを一枚のジグソーパズルで例えると、東北角は、今はもう私の中で一つのピースとなったのです。」
廣告
アフターダイビングも充実
次に向かうスポットは、陳さんの本拠地である屏東、恒春だった。ここで、サイモンさんは新たな質問を投げかけてきた――ダイビング以外、ここでしか体験できないようなことはないか。
陳さんははっとした。自分は今までずっと軸足を「旅」ではなく、「ダイビング」に置いてきたのだな、と改めて気づかされたのだ。「旅行」で最も大事なのは「どんなことを経験できるか」ということだ。毎回のダイビングで必ずしも独特な景色や生き物が見られるとは限らないが、お客さんが満足し、いい思い出が作れるような旅にしなければならない。海の中の景色は世界レベルのパラオやモルディブには及ばないかもしれないが、台湾には豊かな文化や風土、多彩なグルメがある。これこそが、台湾の唯一無二の魅力なのだ。
そこで、陳さんはエコツアーに力を入れている地元の旅行会社と協力し、サイモンさん夫妻に恒春を案内した。社頂でタイワンジカを見てから、米の産地である龍水社区で「紅亀粿」(赤い亀の形をした伝統菓子)作り体験教室に参加したり、かまど神のお参りをしたり、また名物料理の牛もつスープもふるまった。
廣告
蘭嶼では、タオ族の伝統文化を体験した。澎湖の漁村風景や地形景観も、サイモンさんに強い印象を与えたという。また、小琉球でのプラスチックごみ減量への取り組みは、彼らの信念にぴったり合っていた。「この一か月間、私たちは使い捨て容器などを一切使いませんでした。夜市に行った時も、マイ食器を持参しましたよ。」(関連記事:30トン以上の海洋ゴミを清掃 海を守り続ける「小琉球海洋ボランティアチーム」)

高雄出身の陳さんはサイモンさん夫妻に高雄をもっと知ってもらうべく、高雄に一泊できるようにスケジュールを立てた。彼らは塩埕の古い町を歩いたり、かき氷やお茶を堪能したり、カラスミ作りの体験をしたりした。「高雄は立地がいいので、恒春へも、澎湖へも、小琉球へも行きやすいんです。ダイビングに来た外国人観光客が台湾を知る出発点として発展していくとうれしいですね。」
この島を大切にしていることを、行動で示そう
自分に自信が足りないのは、自分のことを十分理解していないからだ。世界的に有名なダイバーから見た台湾は、海流の交差する場所に位置し、豊かな自然に恵まれている島だ。この「台湾一周ダイビングの旅」は、陳さんに異なる視点で台湾におけるダイビング産業を見直すきっかけを与えてくれた。
廣告

緑島の海底地形は変化に富み、非常に魅力的だ(写真提供:台湾ダイビング)
「今一番大きな問題は、ダイビングがほかの観光資源とつながっていないことだと思います。今までは自分のやっていることを『ダイビング業』として位置づけていましたが、今では『ダイビング業も旅行業の一環』だと考えています。ですから、私は民宿を開業し、エコツアーも取り入れました。さらに、今年は『台湾ダイビングスクール』も創立して、専門知識だけでなく、それ以外の様々なスキルも身につけてもらえるようインストラクター育成を行っています。そして、サービス品質の向上と世界水準への到達を目指しています。」(関連記事:ダイビング人材育成に尽力、ビーチクリーンアップに取り組み、サステナビリティを追求 海を守りたい一心陳琦恩さん)
ダイビング旅行はレジャーだけでなく、環境教育を実践する場でもある。海を守るため、「台湾ダイビング」は日焼け止めの使用を禁止している。プラスチックフリーも徹底している。そして、週の一日を「ミートフリーデイ」とし、利用客にもスタッフにもベジタリアン料理しか提供しないことにしている。また、民宿のエネルギー管理も専門家に任せ、ビジネスを通じてどのように社会問題を解決できるかをずっと考え続けている。それは全て、この青い海を守るためなのだ。
廣告
共に青い海の中へ潜ろう。きっと台湾のことがもっと好きになる。


六大ダイビングスポットを巡りながら、台湾を一周してみよう
海に囲まれた台湾は、その海底の景色は諸外国に少しも劣らない。アクセスも便利で、あまり時間をかけずに様々なダイビングスポットに行くことができる。沈没船、サンゴ、ウミガメにカマスの魚群、すべて台湾で出会える。(写真提供:台湾ダイビング)
東北角
都心から一時間足らずで行けるダイビングスポット。日帰りダイビングに最適。潮境公園は魚群もサンゴも状態がいい。基隆に位置しているので、ついでにご当地グルメも堪能できる。(関連記事:関連記事:ホウキガニにアヤトリカクレエビ ワクワクドキドキ東北角の竜宮城)

蘭嶼
台湾人なら一生に一度は行くべきだと、陳さんイチオシのスポット。ここでは手つかずの自然風景が見られる。また、透視度が40メートルにも達し、台湾のダイビングスポットの中で最も高い透視度を誇る。海底景観は変化に富み、ダイビングしているのに、山の谷間を飛んでいるような気分にさせてくれる。八代湾はサイモンさんが一番気に入った台湾のダイビングスポット。むろん、蘭嶼の独特な文化も、時間を忘れさせるほど魅力に満ちている。(関連記事:蘭嶼からのフリーダイビング 水中カメラマンの王文彦さんの物語を聞く)
廣告

小琉球
ウミガメに出会う確率の一番高いスポットだが、観光客が押し寄せるせいで、海の環境がひどく破壊されている。「一刻も早く人数制限などの対策をとらなければ、人類はこの島の消耗に大きな代償を払うことになる」と、サイモンさんの妻、ソフィー(Sofie)さんが真剣に語っていた。(関連記事:2年にわたる小島での生活)

恒春
宿泊も交通も便利で、観光資源も豊富。ダイビング以外、サーフィン、パドルサーフィン、カヌー、エコツアーもでき、温泉もあるので、家族旅行やグループ旅行などに最適。(関連記事:水深30メートルまで潜って出会う海の美しさ ダイビングで海の魅力を知った大霈さん)

澎湖
この「台湾一周ダイビングの旅」をきっかけに、初めて澎湖でダイビングした陳さんは、ここのサンゴ被度の高さに驚いたという。特に「ラベンダーの森」と称される紫色のサンゴ礁群は、世界でも珍しい絶景。また、「東吉之狼」と呼ばれるカマスの魚群も迫力満点。激しい海流の流れに誰もが興奮する。ただし、いくつかの透視度のいいスポット以外、ほとんどのスポットは流れが激しく、魚をはっきり見ることができないため、魚群のそばを通り過ぎるだけになる。(関連記事:お気に入りの島を見つけて、澎湖でいつもと一味違う旅行を体験しよう)

緑島
台湾のダイビングスポットの中で、唯一世界トップ10に入ったスポット。蘭嶼に比べると、緑島のほうが魚群が多く、透視度も30メートル以上になるので、数日間にわたるダイビングにふさわしい。「鶏仔礁」、「鰐魚嘴」、「鋼鉄礁」など、どれも満足できるスポット。(関連記事:漁師でもあるダイビングインストラクターの何誌忠さん 緑島の漁業文化を継承)


オーストラリアのグレート・バリア・リーフでのダイビングインストラクターを経て、1980年に「台湾ダイビング」を設立。ここで育成されたダイバーの中で、毎年約50人がPADIライセンスを取得している。中華圏でのインストラクター養成の中心的な役割を担っていると言っても過言ではない。2019年の夏、有名な外国人ダイバーとともに、台湾六大ダイビングスポットを巡り、「台湾一周ダイビングの旅」を達成。
青い海に潜って、新しい台湾を発見しよう!
文:高嘉聆 微笑台湾2020秋季号『一個人的壯遊』より抜粋,中文原文網址
更多環島旅行故事
おすすめスポット
台湾潜水 ダイビングセンター
住所:屏東県恒春鎮大光路118-5号
電話番号:08-8867082
ホームページ:台湾潜水| Taiwan Dive Center
Facebookページ:台湾潜水Taiwan Dive Center
編集:頼玟璇
校閲:林君翰